こんにちは、ありけんです。
複業時代における個人としての立ち回り以外にも、企業側としてどう立ち回っていくかも重要な観点ということで、その立ち回りの参考になればと思い、新たに、コンサル事例を紹介していくことにしました。
その第一弾は、農業系の会社です。
コンサル対象企業の概要と問題認識
■ 事業分野:農業
■ 売上規模:約5億円/年
■ 従業員数:約80名
農業関係でこれだけの規模をほこっているので、中小企業といっても、大きめの企業に該当します。
規模も大きくなれば、その分問題も大きくなっていくということで、社長の問題認識は、こんな感じでした。
「とにかくうまくいかない。最初に立てた計画がまったく見当はずれ」
「どんなところに問題があると考えてますか?」
「売上が思うように立てられない。歩留まりが悪い。ひとが足りない。でも固定費がかかりまくっている。」
「いろいろありますね。社長はどんな会社にしたいと思っているのですか。」
「従業員が安心して働けて、将来が安定するような会社かな。」
「従業員ファーストでいいですね!ひとつずつ改善していきましょう!」
と、相当困っている状況でした。
本件は、コンサルの依頼というより、困っているから、なんとかしてほしい、話を聞いてほしいっていうところからスタートしているので、明確な依頼内容というものがありません。
といっても、コンサル依頼の場合、例えば、
「業務改革」、「IT整備」、「販路開拓」、、
などのように、明確な依頼もあれば、
「経営改善!」、「今後の方向性!」
とか、抽象的なものもあります。
個人的な経験からすれば、後者の抽象的な方が多いので、
問いの設定から入ることに慣れており、今回もその流れで、改善の提案をしてみることにしました。
コンサルの流れ
では、どんな流れで提案を作っていったかというと、
❶全体感の把握
❷問いの設定
❸問いに対する策の仮説構築
❹仮説のPDCA
❺具体的な提案化
この流れの中で、❷が超絶重要です。これをミスると、コンサルの意味はないと言っても過言ではないです。
前述したように、今回は、明確な依頼ではなく、お悩み相談的です。
社長へのヒアリングで、何に困っているのか、どういう会社にしたいのかって聞いても、実は、社長は「なんとなく」答えている感じでした。
若干失礼かもしれませんが、多くの会社の社長は、同じような感じだと思います。実は、社長も、何が課題なのか、わかっていないのです。というか、それを議論し、明らかにして、どういう方向性にいけば、良さそうかを誰かとシェアしたいのです。
戦略コンサルだと❷を入れるのは一般的です。というか、ほぼ必ず入れます。そして、問いの設定こそ難しく、かつ、キーであるともされているのです。
ということで、流れを見ていきましょう。
❶全体感の把握
まずはこれから。
全体感を把握するには、内外の環境をしっかりと把握する必要があります。
しかし、農業分野に関しては、その業界動向の深いところまでの知識や人脈もいなかったので、そこから泥臭く動きまくって情報を集めていきました。
この時、自分の頭には、いくつか、経営をうまくまわすための仮説を作り、動く必要があります。ざっくり4つくらいは策を考えて動いてました。その仮説を検証するのに、必要な情報も集めていきます。
特に、内部環境があやしいと思っていたので、従業員へのヒアリングは、相当しましたよ、入り込んで。心を開いてくれるタイミングって、いつも決まって、あの時ですよね。
❷問いの設定
最も重要なステップです。
なんで重要かって、それは、おそらく、社長の言う、
「当初の計画通りにいかない」
「歩留まりが・・・」
「将来の安定・・・」
とかって、結局、本当の課題がわからんのです。
それは仕方ない面もあって、事業を担う人にとって見れば、その事業を進めることに精いっぱいで、周りを見る余裕もないし、考える時間もないです。
タカの目アリの目っていいますが、アリの目になって、必死になっているのです。
って、えらそうに言ってる!!!と思われますが、全然えらくもなんともなくて、少しだけタカの目を持っている立場として、本当の課題を「一緒に」見つけ出し、それを解消していくことがコンサルの役割なのです。
つまり、ぶっちゃけ、コンサルの立場としても、本当の課題はわからんのです。
それを「一緒に」見つけ出すことが、大きなコンサルの役割になるのです。
ではでは、具体的に、どうやって見つけ出すのよってことですが、これはもうどろくさーいですよ。
簡単に言うと、駆けずり回って他者情報とか、過去事例情報とか、関係者のヒアリングとかしまくって、考えまくって、議論しまくって、それらを何度も何度も繰り返す。
これしかないのではないでしょうか。ほかにいい方法あったら教えてほしいくらいですが、わたしがこのステップで最も大切にしていることが一つあります。今まで、ここから問いの設定につながることも多々ありました。
それは、
「従事者が、なんとなく感じていること」
を引き出すことです。
事業に従事していると暗黙の了解や、こういうもんだという常識的なところがよくあるのですが、「これは実は違うんじゃないか」「こうすればもっと変わるのに」とか、なんとなく感じている、そんなすごいひとが眠っていたりするのです。
そんなひとをたたき起こして、潜在的な意識を顕在化させることが、結果的に、経営の改善につながるのです。
たたき起こす方法としては、危機感を共有すること、これ、効果的です。
社長は、社員に心配させないようにとか言って、まずい状況だとかを隠そうとします。これはダメ。
社員だって、なんとなーく気づいてるし、社員に頼らない、独り相撲の社長だってことで、仲までもが怪しくなってしまいます。
「俺は今までずっと悩んでた」
「将来は、この事業がどうなるのか不安だ」
とか、危機感を共有すると、とんでもなくすばらしいアイディア・ネタが出てきたりします。そんなような場を取り持つこともコンサルとしての役割なのかもしれませんね。
て、そのアイディア・ネタから、このケースでも問いの設定ができたのです。
❸問いに対する策の仮説構築
問いの設定ができれば、❸以降はスムーズに進みます。
もちろん、すべてがうまくいくことはありませんが、問いが分かっていると、打ち手がどんどん出てくるものです。
仮説を作る段階では、ざっくり100個くらいは用意しておいた方がいいですね。
その中から当たるのは、1割あるかどうかくらいなので。
❹仮説のPDCA
PDCAを回すには、従業員の協力がないとできないものや、時間のかかるものなど、多様です。
優先順位をつけて、効果のありそうなもの、検証時間のかかるものから実行していく必要はありますが、できる限り素早く、「仕掛け」ておくのがいいですね。
一人でPDCAを回すには限界があるので、「与力」をつかってうまく回していきます。
❺具体的な提案化
PDCAが回せて、効果がありそうなものが抽出できれば、「具体的で実効性のありそうな」提案が可能になりますね。
ここはというか、❸~❺は、コンサルの腕の見せ所でもあるので、がんばりどころです。実効性がすごいものを提案できると、次も、依頼が来ますよ、きっと。事業拡大とか、成長戦略とかで!
まとめ
長くなってきたので、農業系会社の問題認識とコンサルの流れ、問いの設定の重要さを中心にまとめました。
次回、実際の問いの設定(を一般化して)について、投稿します。
ありけん
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