農業系事業会社の経営改善ということで、全体感を把握したあとのアクションについて、掘り下げていきます。T字の縦棒をどこに伸ばすかを見極めるってところに焦点をおきます。
社長の悩みは何?
依頼内容がよほど明確でない限り、だいたいは、何が問題なのか、何をどうすればよいのかが、明確でないケースが多いのですが、特に、よくあるのは、売上や利益が出ないことで困っているケースでしょう。
今回のケースでは、社長は、こんなことを言っていました↓
「とにかくうまくいかない。最初に立てた計画がまったく見当はずれ」
「どんなところに問題があると考えてますか?」
「売上が思うように立てられない。歩留まりが悪い。ひとが足りない。でも固定費がかかりまくっている。」
「いろいろありますね。社長はどんな会社にしたいと思っているのですか。」
「従業員が安心して働けて、将来が安定するような会社かな。」
「従業員ファーストでいいですね!ひとつずつ改善していきましょう!」
全ての言動でもなく、簡易的に記載しているので、かなり表面的になってしまっていますが、この時、まず感じたのは、何が問題なのか、特定できておらず、その問題解決に走れていないってことでした。
対象企業は、創業から、そこまで時間のたっていない、歴の浅めの企業だったので、当初計画の通りいかない~って悩んでましたが、歴の長い企業だったとして、昔は、売れてたのに、最近はうまくいかないとか、そういう例もあると思います。
根本的なところは同じなので、コンサルスキームは共通です。
何が問題なのか、何を解決すべきなのかって、結構難しくて、これをはずすと、思うような数字が出ず、キャッシュフローが悪化したり、立ち行かなくなったりしてしまいます。資金繰りの苦しい企業は特に、です。
全体感を自分なりにまとめつつ、従業員・社長と議論していくと、だんだん縦棒のおろしどころが見えてきたのですが、前々回記事にも書いたように、危機感を共有して、なんとなく感じていることを引き出すことで見えてきました。
そして、その問いの設定としては、社長が言っていたようなところと関連はするのですが、そのままではありませんでした。
【社長のイメージ】
「売上がうまく立たない」
「歩留まりがわるい」
「ひとが足りない」
【実際の解決すべき問い】
①販路見直しによる自社商品とターゲットセグメントのマッチング
②環境変化に応じた進化を可能にするチーム作り
どういうことか、(秘密情報には触れられないので)もう少しだけ書きますね。
問いの設定
問いの設定を行う時、なんとなく感じていることを引き出すことがポイントって言いましたが、全体感の把握の中で、本当の問いは、これだろうというものをいくつか考えておき、その中に、なんとなく感じていることがあれば、ほぼほぼそこから解決すべき問いは見つかります。経験上。
もちろん、この全体感を把握し、問いの設定を考えていくとき、かなり大きく振って考えます。
ふり幅はマックスですね。
農業系で振る幅は、世界的バリューチェーンででコンストラクションが起こっているとかから、疫学的な視点(病気の蔓延とか)、国内のバリューチェーンの癒着(←仮定ですからね)、極端な政策(防衛交渉のネタに農業が使われ、大量輸入契約があるかもなど)によって変わる事業環境などなど。
そして、関係者へのヒアリングで具体にしていきますが、この抽象的というか大局的なところと、具体の間を何度も何度も思考します。思考の中に、従事者が思っていることをエッセンスとしていれるのですが、ある従業員が、
「作り方が違うんだよ」
って話してきたのがきっかけで、深堀の糸口が。
ん?作り方?って。
そこから、その従業員の思いとか、そういった観点で他の従業員にも聞いていくと、どんどん出てきましたw
で、結果、この2つに。
①販路見直しによる自社商品とターゲットセグメントのマッチング
②環境変化に応じた進化を可能にするチーム作り
①販路見直しによる自社商品とターゲットセグメントのマッチング
既存の取引先との関係性をとても重要視して、いいなりになってしまってたんですね。
もう少しつっこむと、どうやって値付けされてるか、気づけていなかったということです。
そんなことか~って?w
値付けには、ある関係性があったので、それをベースに考えると、ターゲットと自社製品とが、ミスマッチだったということです。かなり。ミスマッチは環境変化が要因ってことが多々あるのですが、今回は違いました。
ターゲットの見直しって他の業界でもよくやりますが、本当の意味で、マッチングできているかどうかは、意外と判断が難しいものです。
②環境変化に応じた進化を可能にするチーム作り
そして、もうひとつは、これ。
まぁこれはどの企業でも共通するのですが。
社長は、将来も安定して・・・って言っていて、エグジットは考えず継続を最前面に出しているのに、変化の要素を入れていなかったのです。
普遍のビジネスってないですからね。
まとめ
このような問いを設定し、進めていこうと合意しながら、仮説を構築しまくっていくのですが、仮説構築からPDCAを回す段階で、この問いで本当にいいのか、と再度立ち戻る必要もあります。
このケースではそれはなかったので、最後まで回しましたが、何度も何度もPDCAを回すことが基本なので、後戻りも辞さずに!実効性あるものに仕上げていくために。
次は仮説構築についてです!
ありけん
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